かくシごと図鑑

【かくシごと図鑑01】コーポレートサイトのライター|文章を書く仕事

こんにちは、コピーライターの西沢夕佳です。新シリーズ「かくシごと図鑑」を始めます。

世の中には「書く仕事をしたい!」と思っても、どんなことから始めればいいのかわからない人がたくさんいます。また、クラウドソーシングで1記事1,000〜2,000円(ひどければ1文字0.1円)のライティングをして、才能と命を搾取されている人もいます。

僕は、そんな現状が許せません。このブログは「書く仕事」で生きていきたいと願う、すべての人のバイブルです。駆け出しライター・キャリアに悩むライターにとって、少しでも希望になればと思い「ライターができる仕事を広げていこう」という思いからこの企画をはじめました。

本来ライターは「なんでもできる仕事」です。だから「この仕事に転職する」というのはナンセンスともいえます。しかし、この企画ではあえてわかりやすく職域を分類して書くことにしました。どんな仕事なのか? どんなスキルが必要で、どれくらい稼げるのか? シリーズ化しますので、ぜひ追ってみてください。

コーポレートサイトのライターとは?

「コーポレートサイトのライター」は西沢夕佳が勝手に名付けた名前です。職種名ではなく「こういう仕事がある」という分類です。

仕事内容・やりがい・収入の目安・必要なスキルを概観してみましょう。

仕事内容の紹介

コーポレートサイトとは、企業・法人・個人事業主などのホームページにあるテキストを作る仕事です。ここでいうホームページとは趣味というより、事業のために立てるものがほとんどです。

ホームページにはさまざまな種類があります。たとえば…

  • 事業のサービス・会社の紹介・問い合わせへの導線などをすべて詰め込んだ総合型ホームページ
  • 上から下に読んでいって問い合わせをさせる、縦長チラシのようなLP(ランディングページ)型ホームページ
  • 生身で営業する人が名刺のようなものとしてもつ、最低限のホームページ

上記はホントに一部です。とにかくホームページにはさまざまな目的があり、逆に言えば「なにか事業をしよう」と思ったらまずホームページが必要になると考えて間違いありません。

この中に書かれるテキストをつくるのが、コーポレートサイトのライターです。イメージしやすい画像をおいておくので「こんな感じか」と見てください(ちなみに1つ目は僕が書きました)。

一般的なホームページの例/tooth
LP型ホームページの例/ROCKVIL
名刺型ホームページの例/みやかわトランスポート

仕事のやりがい

コーポレートサイトのライターのやりがいは、なんといっても「世界を見て、それを自分の言葉で表現すること」「その喜びがそのままクライアントの利益につながることにあります。

世にある困りごとと解決法を知ることができる

コーポレートサイトとは事業に使うもの、といいました。事業とは仕事のことです。そして仕事とはどんなものでも「世にある困りごとを解決する」ためにあります。

たとえば、司法書士のホームページ。司法書士ってどんな仕事かご存知ですか?簡単に言うと「街の法律家」と呼ばれる人のことで、相続の相談・手続きとか法律の相談をしてくれる国家資格者のことです。

司法書士のホームページに来るのは、司法書士の力を借りたい人です。たとえば「相続の手続きをしたいけど何からしていいかわからない」人。そういう人に向けて「相続のことで悩んだら、まずはうちに来てください」と書く必要がありますね。

さらに、歯科クリニックのホームページ。歯の治療だけじゃありません。小児歯科。歯並びの悪い子どもがいます。口呼吸しかできない子がいます。こういった困りごとも実は、歯医者の領域です。歯並びが悪いと骨格がズレます。口呼吸は免疫・歯並び・横顔に関わります。

こういった子どもに対して早めの矯正治療をしたり、呼吸の方法を伝えたりするのも歯医者の役割です。口の健康は、身体の健康。ご存知でしたか?

このように、コーポレートサイトを書くことは世の困りごとを知ることにつながっているのです。書くために調べて、書けば書くほどに実践的な知識が身についていくのが、この仕事の魅力の一つです。

経営者などの声を直接聞いて糧にできる

「ホームページでアピールしたいことは?」「創業にかけた思いは?」など、経営者に直接聞くことができるのも魅力です。

どんな仕事にも、創業者がいます。思いなく創業する人はいません。「稼ぎたいから」始めた人がいたとしても、その背景には「なぜこの仕事は稼げるのか」があります。そこには、自分の力で事業を始めた人が見つけた社会の課題や困りごとがあるのです。

あなたは今日、誰と話しましたか? 職場の同僚、友人、家族。その中に「経営者」はいましたか? このような、かけがえのない機会に毎日のように触れて自分を成長させることができるのも魅力です。

コピーライティングで企業を表現する快感

まあ、これがすべてです。書く仕事がしたくてこれを読んでる人にとって、言葉は稼ぐ道具以上の意味を持っているはずですからね。

多くは言いません。「コピーライティングの楽しさって?」と疑問な方は、とりあえずこのブログをブックマークしてください。「コピーライティングの沼にハマって人生が変わるなんてゴメンだ!」…という人は、やめておいたほうがいいですが。

もちろんクライアントワークですから「好きなことを好きなように言える」わけじゃありません。でも、だからおもしろい。あなたならわかりますよね?

収入の目安

転職サイト・クラウドソーシングの各種サイトを調査すると、2021年10月時点でコーポレートサイトのライターの収入目安は以下のとおりです。

なお、実績などは考慮していません。いずれもスキルや交渉でUPし、社員なら昇給などがあります。

転職サイト:月給23〜25万円
クラウドソーシング:1件につき15,000円〜20,000円

転職サイトなら、一般的な相場と同程度です。また、クラウドソーシングでは比較的割高に受注できる傾向にあります。しかし転職サイト・クラウドソーシングどちらも件数が少ないのが難しいところです。競合のワーカーも多くいます。

クラウドソーシングなら月に1本受注できればラッキー、くらいに考えておきましょう。

必要なスキル

コーポレートサイトのライティングに必要なスキルは以下のとおりです。

取材スキル

経営者や広報担当者などから話を聞きます。「どんな事業なのか?」「それによってどんな人を助けているのか?」「特徴としてアピールしたい点は?」…など。

もちろん、Q&Aをしろというのではありません。話すのが苦手な人もいます。専門性が高すぎて何を言っているのかわからないときもあります。背景知識がなさすぎると、相手に話す意欲がなくなることもあります。

取材はふつうなら話を聞けない相手からメチャクチャ有益な話を聞くチャンスで、ライターの醍醐味そのものです。しかしその裏に、確かな取材スキルが必要になるのも事実です。

コピーライティング

司法書士のホームページ。トップのおおきなアオリ文字がこんなだったらどうでしょう。

「街の法律家 西沢司法書士事務所です」

僕だったら後輩に2時間説教します。街の法律家なのは誰でも知ってる、それはまだしも屋号名なんてトップに書いたってなんの意味もないんだ、何の発展性もないコピーを書くなということですね。

  • 相続で悩んだとき、街の法律家がそばにいる。
  • 江古田の街で35年。10,000人の困りごとを解決しました。
  • ネットや本より、司法書士。

このくらいの提案が必要です。これを考えるのが、とんでもなく楽しいっていう話ですね。いま考えてても脳汁出ましたわ。

校正・検証

ライターたるもの、正しい情報を伝えてなんぼです。料金は合っているか。誤字脱字はないか。「江古田の街で35年」とあるが、サイトリリース時には36年になるぞ。…など。事実検証ですね。

自分が書いた文章をクライアントのものとして世に出すサイトですから、自分で書く以上に責任は重大です。校正作業を分業していたとしても、自分で書いた文章にいちばん詳しいのは自分です。校正・検証スキルを磨いておくことは欠かせませんね。

編集力

ホームページにはデザインというものがあります。このスペースにはこれくらいの文字を書く、こっちにはこれくらいの文字数。本やブログのように無限に書けるわけではありません。

しかし、取材で情報がメチャクチャ集まった。すべてを書けるわけではない。さあ、どうまとめる?…ここで編集力が必要になります。

本当に必要な情報を、必要なだけの文字数でまとめること。こんな編集力を磨く必要があります。

ライターの転職にコーポレートサイトのライターはおすすめ?

ここからは、ライターとして実際にこの仕事をするにあたってのおすすめ度の話をします。
結論から言うと、おすすめ度はこんな感じです。

やりがい:5点  ★★★★★
収入  :3点  ★★★☆☆
成長  :4点  ★★★★☆
将来性 :4点  ★★★★☆
未経験 :3点  ★★★☆☆
総合  :3.5点 ★★★★☆

やりがいは言うまでもなし。成長の余地もかなりのものです。

しかし、参入が難しいことが未経験からのチャレンジを阻みます。また、収入レベルがそれほど高くない点も見逃せません。

ホームページ作りの仕事はなくならない

上の点数で「将来性」に言及しました。ホームページ作りという仕事は2000年代早くから始まり、20年以上に渡りカタチを変えて続いてきています。

「FacebookやTwitterでじゅうぶんだ」という人もいますが、いずれにしても「事業の拠点」のようなものは必要ということです。どれだけ形を変えようと「ホームページを作って事業拠点とする」動きは変わりそうにありません。

むしろ現在は「検索で上位にホームページを表示させるには?」「閲覧者に少しでも長くホームページを回遊させるには?」など、むしろ内部面での技術研究が進んでいます。この流れはまだまだ続くでしょう。

そういった意味で、将来性は高いものと判断しました。もし、いま想像できないレベルの大革命がおきて「ホームページは不要だ」となったとしても、PC・スマホ・そしてWebという仕組みや「検索」という行動が残る以上は、ホームページ自体が駆逐されることはなさそうです。

コーポレートサイトのライターになる方法は?

最後に、コーポレートサイトのライターになる方法をお伝えします。もちろん、テキトーは言いません。ここまで読んで「この仕事がしたい!!」と思ってくれた方向けに、本気で道筋を示します。

なお、以下のいずれの場合でも実績づくりをしておくとかなり有利になります。実績の作り方については以下のリンクで紹介しますので、後で読んでみてください。

未経験ライターが高単価案件を受注する方法
(現在制作中です。今しばらくお待ち下さい)

方法01 クラウドソーシングで探す場合

ランサーズを例にすると、ホームページライティングの案件は、以下のカテゴリでよく見つかります。

  • Web制作・Webデザイン
  • ライティング・ネーミング

基本的にはここに張り付いておきましょう。そして、提案文のフォーマットをあらかじめ準備しておいてください。提案文の例は以下のリンクで紹介するので、ご参考に。

ランサーズで未経験ライターが仕事を受注する方法・提案例を紹介
(現在制作中です。今しばらくお待ち下さい)
※ランサーズ以外でも使えます

提案するまでのスピードが大事です

過去の例でいうと、歯科クリニックのホームページ制作。私は当時、駆け出しだったのでブロンズランクでした。しかし、依頼が掲載されてから1時間で上記記事に沿った提案をしたところ、見事受注に成功しました。

こういってはアレですが、依頼者にはライターの良し悪しは区別が付きません。だからこそ、スピードと提案の質で決める…という場合も多いのです。

ほかのワーカーより先に、良い提案をする。それがすべてです。これだけで受注率はグンと上がります。

方法02 会社に所属する方法を探す場合

要は「正社員(または契約社員・アルバイト)」として働く場合ですね。できれば正社員を探したいところです。

まず、主要転職サイトに登録してください。リクナビNEXT・エン転職・マイナビ転職・dodaあたりです。ここにある「未経験歓迎」の求人を探すことから始めましょう。

このとき、ライター募集の求人を探すのはもちろんありです。ですが、正直言って数は多くありません。だからといってめげるのはナンセンスです。

求人がないときはこうしてみよう

たとえば求人内容に「ホームページの制作」「Webサイトの制作」とある会社を探してみてください。その募集がデザイナーだろうとディレクターだろうと、その会社には「ライター」という部署がある確率が高いです。ホームページを作っているのですから。

これがチャンスです。その求人に「ライターの募集はしていませんか」と応募してください。どうせハジかれるって? んなこたねえよ。方法はこうです。

  • 会社の事業やホームページの制作スタイルを徹底的に調べる
  • その中でライターがどんなことをしているのかを推察する
  • 応募のとき「御社を調べました。こんな事業かと推察します。おそらくこのような優秀なライターがいるのではないでしょうか。私もそれになれます。こんな価値を出せます…」と提案する。

こんだけ熱意ある人から応募が来たら、ふつう目を留めますよ。だって、ライター募集じゃないのにそこに応募してくるんですよ。そのために必要な情報も「取材」できている。こんな普通じゃないライター、ほしいに決まってるじゃないですか。

私は都内のWeb制作会社で、ライターチームのリーダーをしています。もし人事部から「こんな人から応募きたよ」と言われたら、間違いなく面接します。自信を持ってやってください。どうしていいかわからなかったらDMください。リンクはこのページの最下部です。

履歴書・職務経歴書もポイントです

また「履歴書・職務経歴書」を整えておくことも重要です。未経験ライターのための、受かる職務経歴書の作り方も別記事で紹介するので参考にしてください。

未経験からライターへ!転職を成功させる履歴書・職務経歴書の書き方
(現在制作中です。今しばらくお待ち下さい)

方法03 どうしても仕事が見つけられない場合

どうしてもだめだ。諦めそうだ。そのときは僕のツイッターにDMをください。すぐにとは言えませんが、なんとか仕事を探して紹介します。

そこで「この人、良い仕事するなぁ!」と思ったら継続で任せられる仕事を任せます。僕を足がかりにして、ライターとしての道を歩み始めてください。

西沢夕佳にDMを送る(リンク先はTwitterです)

1文字0.1円のライティング、もうやめにしませんか?

かくシごと図鑑、第1回はコーポレートサイトのライターをご紹介しました。

…まあ、僕が今やってる仕事です。一部に脚色はありますが、概ねこんな感じ。メチャクチャおもしろいですよ。

そしてこのシリーズでは以下のことを毎回言います。

1文字0.1円の記事ライティングは、今すぐやめましょう。そんなものにあなたの才能と命を使わないでください。そんなお金にもキャリアにもならないことをするくらいなら、僕に連絡をください。

キャリアになる、知識が身につく、世界を知れる。そんなコーポレートサイトのライター、ぜひあなたも挑戦してみませんか?

…というわけで、全ライターのバイブル「かくシごと」を今すぐブックマーク! 今後も役立つ情報を発信するので、ぜひご覧ください〜。